こんにちは、ミツイです。
ゴーリストにはメンバーの自発的な学習や成長を支援、プロフェッショナル化を促進するため、書籍の購入を会社で負担する制度があります。
デザインチームでも、月に2冊くらいデザイン関連の書籍を購入して勉強しています。
デザイン系の書籍は値が張るモノも多いですが、こういう制度があると知識欲に従って思いきれるので、けっこう嬉しいですね。
チーム内でも「これは良書!」と思う本が幾つかあるので、おすすめ書籍を上げていこうと思います。
今回は第1回として「みんなではじめるデザイン批評―目的達成のためのコラボレーション&コミュニケーション改善ガイド」をご紹介します。
みんなではじめるデザイン批評―目的達成のためのコラボレーション&コミュニケーション改善ガイド
- 作者: アーロン・イリザリー,アダム・コナー,長谷川恭久,安藤貴子
- 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
- 発売日: 2016/05/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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著者紹介
アダム・コナー
MAD*POWというデザインコンサルティング会社のデザイナー。立派な髭がトレードマーク。
Adam Connor - Designer, Illustrator, Etcetera, Etcetera
Adam Connor | Mad*Pow
アーロン・イリザリー
「Capital One」というファイナンシャル企業でCMとかUX設計とかをしている人。真面目キャラかと思ったら、結構がっつりタトゥーが入ってますね。
https://www.linkedin.com/in/aaroni
Aaron Irizarry on Vimeo
おすすめポイント
『デザインについて相談されて思いつく限りのことを指摘したけど、結論が出ず「う〜ん」となって終わってしまう』
『アドバイスを貰いにいったら「いいね!」と言われて嬉しくなって帰ってきたが、何も解決していなかった』
などの経験がある方は是非ご一読頂きたい本。
デザイン批評(一般的に使う言葉で言うと“デザインレビュー”に近いです)する時に気をつけるべきことや批評に対して持つべきマインドセットを、かなり具体的に書いてあります。
ざっくり内容紹介
フィードバックの駄目パターン、OKパターン
レビューをした時に得られるフィードバックには反応型、指示型、批評型の3パターンあります。
反応型
「良いですね!」「格好いい!」「全然駄目」などの感情的なフィードバック。「良いですね!」が欲しくてレビューお願いしがちですが、批評とはそういうことではないです。
逆に「全然駄目!」と言われても、困りますよね。基本的にこの反応は、ただの好き嫌いです。
指示型
「ここをもっとこうしたらいいんじゃない?」というフィードバック。批評者が解決策を考えて、それを伝えるという形ですね。自分が批評する時にしがちです。。
批評型
デザインのある側面(etc.ボタンを大きくして目立たせたこと)に対して、
それが目的(etc.60代のユーザーが申し込み方法に迷わないようにする)に対して機能しているか、
またベストプラクティスを踏襲しているかどうかをフィードバックします。
こうすることでフィードバックを受けたデザイナーは、その側面について目的に対して機能する解決策を考える、という次回アクションが明確になります。
指示型のフィードバックがなんで問題か?
端的に言うと、このタイミングで解決策を考えるべきではないということです。
ここはこの本の肝でもあるので、もうちょっとだけ詳しく。
人は分析することと創造することを一緒にすることはできない、というのがこの本の主張です。確かにそう思います。
デザインする時はその間を振り子のように行ったり来たりするべきなのですが、批評の場ではそれをするべきではないです。
批評の場で解決策を言うということは、その人は創造に入ってしまっています。
なので、その人は分析して新たな課題を見つけることもできなければ、他の人が言う課題についてもちゃんと理解することができません。
これがミーティングの時に各人バラバラに起こると、、、
お互いのアイデアは論点がズレてるから受け入れられない、下手すりゃ話を聞いてないという状態になってしまいます。
アイデアを恊働して考えるのは良い(むしろやるべき)ですが、批評の場と恊働の場は分けるべきです。
ということで、指示型のフィードバックは批評の場ではしない。
ベストプラクティスって?
所定の状況における最善のアプローチまたは問題解決法を理解するのに役立つ、時間とともに確立されたヒューリスティックのこと。
ヒューリスティック評価で駄目なものは、駄目よって話です。
その後も、批評をする時される時の心構えや、批評しやすい文化を作ることの重要性、ペルソナ・シナリオ・原則・シナリオを基礎として共有すること、制作 プロセスのどのタイミングで批評すべきか等、かなり勉強になることが目白押しです。
かゆいところに手が届くように、普段難しいと思っていたチーム制作での課題について書いてあります。
“扱いにくい人”について1章を割いているところなど、著者たちもだいぶ苦労してきたんだろうなぁと思いますw
まとめ
批評を受ける側にしろ、する側にしろ、一読の価値はある本だと思います。
もちろん、この本で言う「批評」を当たり前に行えているデザイナーさんも多いと思いますが、重要なのはメンバー全員がその考えを持てているかどうか。
批評する側、される側、ミーティングに参加するメンバー、誰か一人でも意識が違えば、そこに対処するコストは結構なものです。
是非、チーム全員で本を回し読むか、勉強会など開いて共有することをおすすめします!
以上、ご清覧ありがとうございました!